2. The
roots of Learning Oriented Assessment
n Learning-oriented
assessment (学習を重視した評価)
→「より良い学習を促進する」という考えが原点
教育的評価の重要性や価値に対してchallengeするということから
n Learning-oriented approachは、より教師介在的であり、内容を重視した、教室内で用いられる評価法である
2.1 Cambridge English and Learning
Oriented Assessment
n ケンブリッジのLearning Oriented Assessmentは実際に試験で用いられテスト受験者の分析を元に改善されてきたもの
n 同じようなレベルで勉強しているやる気のある生徒を対象として行ってきたが、ケンブリッジ英語検定の需要の拡大に伴い、その対象も変化している
2.2 Origins and emphases of
learning-oriented approaches
2.2.1 Assessment for Learning:
England
n Assessment for Learningやformative assessmentという用語はAssessment Reform Group(ARG)による研究とつながりが深い。特にformative assessmentはARGが作り出したものではないが、ARGがその概念を発展させたことは広く影響を与えた
n その当時の評価法の研究に対するARGの主な批評点は以下の3つである
@学習者個人というよりも学校を対象とした評価法を用いることによる問題点
A総括的評価から形成的評価を引き離す必要性の認識
B教師に対する信頼の必要性
n ARGによるformative assessment の研究は、当時イギリスの学校で用いられていたAssessment for learningの10原理を裏付けるものであった
n ARGの最後の研究では以下の4点を課題点として挙げている
@Assessment for learningの’spirit’を獲得するのが難しいということもあり、学習者の自主性を伸ばすのに効果的な学習法のための評価を実践している教師がすくないこと
Aテストや試験の信頼性を上げること
B評価にかかる金銭的なコスト面を正当化すること
Cmicro-managementな評価からの脱却
→イギリス政府による教育評価に対する疑問
n ARGの研究をTLRPが引き継ぎ、現在ではlearning-oriented
assessmentに基づいたeffective pedagogyの10原理を打ち出している
2.2.2 Flight from psychometric
testing: The United States
n 学習によって様々な評価法が求められるということ(alternative)、テストは実生活に基づいた現実的なタスクであること(authentic)について言及されていた
n Wiggins (1998)は教育的評価について、テストは測定するためだけではなく、教えるため、向上させるために意識的にデザインされるものだと述べている
n Brown and Hudson (1998)は評価の波及効果について、よくデザインされたパフォーマンス評価は良い波及効果をもたらすことができると述べた
2.2.3 Teachers at the center:
Australia, New Zealand, Hong Kong, Scotland
n teacher-based
assessment(TBA)やschool-based
assessment(SBA)の発展により、公的な試験には無い、学習評価に対する重要な役割が教師に与えられることとなった
n Carless (2007)はlearning-oriented assessmentについて3つの原理を挙げている
@評価タスクは生徒の正しい学習活動を促進できるようにデザインされるべきである
A評価は生徒がその基準や質、そして自分自身や他の生徒のパフォーマンスに対して積極的に関わろうとさせられるものであるべきである
Bフィードバックは、タイムリー且つ生徒の現在やその先の学習を見据えてたものであるべき
n Davison and Leung (2009)はTBAが世界的にも教育の分野で多く取り入れられており、特にアジア(香港やシンガポール)での発展が進んでいると述べている
(2.2.4
Assessment as a strong model of learning)
2.3 defining learning-oriented
assessment: Process, policy or principles?
n Black and William (1998)などもとに、ARG(1999)は評価を通した学習の向上のための5つの主要因を挙げている
@生徒に対する効果的なフィードバックの提示
A自分の学習に対する生徒の積極性
B評価結果を考慮することを教えること
C評価するということは生徒のモチベーションや自尊心に大きな影響を与えるものであることをしっかり認識すること
D生徒に自己評価させ、どうすれば向上するかを理解させること
n 一方で上記の要因の裏には以下のような抑制要因もいくつか存在している
・学習の質よりも研究や発表の量を評価するという傾向
・生徒同士を互いに比較させるということの強調
・教師が生徒それぞれの学習理由について十分に知り得ないこと
n 学習のための評価は、学習者が何をどの程度学んでいるのか、何を目標として、それを達成するにはどの方法が最善かということを教師や生徒自身が決めるために利用できるものである
n Black and William (2009)では、形成的評価の5つの側面を以下のようにまとめている
@成功させるための学習の意思や基準を明確にし、共有する
A学習者の理解の根拠を引き出せるような教室内での効果的な学習タスクの開発
B学習者を前向きにさせるようなフィードバックを与える
C生徒ひとりひとりがそれぞれにとっての学習資源であること自覚させる
D生徒それぞれが自分の学習の所有者(owner)であることを自覚させる
2.4 Specific learning-oriented
methods
2.4.1 Mastery learning
n Black and William (1998)によって提唱された方法で手法は以下の2つ
@Learning for Mastery (LFM):teacher-paced/group-paced
APersonalized System of
Instruction(PSI)
n 完全に習得できるまで、ある1つのトピックを勉強し続けるという方法で実際に大きな学習効果があることが報告されているが、賛否両論あるのが現実である
2.4.2 Dynamic assessment
n Anton(2012)は、兆候的評価から診断的評価への変化について言及していたVygotskyのZPD理論を元に2つのDynamic assessmentの方法を提示した
@介入主義:テスト→介入→再テストという形式を取り、量的な結果を重視する
A相互作用主義:相互作用の中で、学習と評価を組み合わせて質的な分析を行う
n formative assessmentがタスクの遂行に焦点を当てているのに対し、Dynamic assessmentは認知的発達やその後のタスクのためのスキルへの移行を目的としている
2.4.3 Cognitive acceleration (CA)
n 特定の理論モデルに基いて学習者の認知プロセスを刺激することで、認知的発達を促すという方法で、1980年代にロンドンで始められた
n CAの背景にある理論は以下の4つである
@認知的衝突
A社会的解釈
Bメタ認知
Cスキーマ理論